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2000/9/16 ヒートシンク取り付けの写真を追加


Epox(EP-BX7+)にALPHAの超大型ヒートシンクを取り付ける

1.はじめに
 CPU空冷においては、気中にいかに効率よくCPUの熱を逃がすかということが最大のポイントです。そのためには、ヒートシンクの材質、大きさ、形状、ケースの排熱等に配慮した空冷システムを構築する必要があります。
 今回は、手持ちの超大型ヒートシンクAlpha LS100-30wを使用して、大型ファンPanaflo FBH-12G12M(12V0.35A)をケースサイドに取り付け、エヤー吹き付けによる空冷システムを製作しましたので紹介します。

2.取り付け構想を練る
 100ミリ角のヒートシンクですから、コンデンサーが当たって取り付けは無理かなー?と思いながら、マザーの上置いて思案しました。幸いなことにこのマザーは外形が大きく、ソケットまわりのコンデンサー配置も広く取ってあります。5ヶ所の穴あけで何とかなりそうです。
 ヒートシンクの取り付けは、以前作ったネジフック式とし取り付け穴位置の検討です。フィンの隙間に穴をあけるため、位置合わせには苦労しました。また、2ミリの銅版を貼り付け、熱伝導を良くする事と、高さを稼いで小さいコンデンサーが当たらないようにしました。

3.ヒートシンクLS100-30wの加工
 コンデンサーの逃がし穴を5箇所あけます。ドリルは12oと8.5oを使用しました。12oの大径ドリルは鉄鋼用がなっかたので、木工用のキリを代用して加工しました。また、8.5oの鉄鋼用ドリルは刃先を一文字に研磨(ローソクギリと呼ばれている)して穴あけ加工しました。
ローソクギリは一般的には1o程度の薄板の穴あけに用いられます。ヤマギリだと三角むすびのような穴になり、きれいにならないのですがローソクギリだとバッチリです。ただホームセンターなどには売っていません。


コンデンサーの逃がし、銅板取り付けネジ穴、シンク固定穴、側面の逃がしなどを加工した完成品
(前回370ゲタに取り付けたものを流用しているので不要な穴もある)


12o木工用キリ(先がネジ形状なので4ミリの下穴をあけて使用)

8.5oローソクギリ


4.ホビー用卓上ボール盤を購入
 12oの穴ともなるとさすがに充電ドライバーでは無理があると思い、ホームセンターでボール盤を購入しました。3軒廻った中で在庫処分5800円があり半額以下でGET、早速使用してみての感想は、騒音・振動が少しあるがホビー用ならこんなもんか!。
 ローソクギリの研磨は、両頭グラインダーで研磨しました。


ホビー用卓上ボール盤

両頭グラインダー



穴あけ・タップに愛用の充電ドリルドライバ


5.ヒートシンクの外側部分をヤスリで加工しマザーに取り付け
穴明けだけではコンデンサーの逃がしは充分でなく予定位置に収まりません。さらに、コンデンサーが当たる部分・電源ソケット部分をヤスリで削って逃がしました。
取り付け方法は以前公開したネジ式フックを使用して、CPUダイ外周熱伝導板を挟んでネジで締め付けました。CPUコアダイにはDSグリスを使用しています。ネジフックの取り付けにはクリップを使用しフックが外れないようにして取り付けました。

BX7+に取り付ける時の写真を撮っていなかったのでスミマセン。
こんなイメージでとりつけました。(次回実験で取り外すので写真を追加します)


ヒートシンクに貼り付けた2ミリ厚の銅板
(10/16写真追加)

接触面のグリスの状態
(10/16写真追加)

CPUダイ外周熱伝導板
(10/16写真追加)

6.取り付け完了
マザーボードに取り付け完了。ぴったりと収まった感じはなかなかの出来栄えです。
実は途中挫折しそうに!うまくいきそうにないのでやめようかなとも思ったのでした。


ケースに組み込んだ超大型ヒートシンク
サーミスター温度計センサー2箇所取り付け

マザーボードに取り付けた超大型ヒートシンク


7.FANは吸出しをあきらめ吸い込みにしてヒートシンクへ吹き付け
ヒートシンクにダクトを制作(写真A)し取り付けて起動、しかし無負荷でダイ温度が6度位変動します。FANの振動が伝わっているように思えます。また、フィンの間を風があまり流れていないようです。これはダクトの開口部が小さすぎたようです。さらにケース側板にFANを取り付けるのが難しい。
等々の結果から、FANは吸い込みヒートシンク吹き付け方式(写真@)としました。


@吸い込みヒートシンク吹き付け方式に決定

A吸出しダクトを制作したがうまくいかないのでアキラメ


8.冷却性能やいかに

冷却性能は他のクーラーと同じ条件で比較していないので正確な報告はできませんが、前回のレポートでアルファーFC−PAL35U(薄型FAN)の温度上昇と比較すると、FSB66*8=533で室温31.0℃でスーパーPI104万桁の最高温度は40.3℃です。これに対し今回のクーラーでは室温33.0℃で37.0℃となっています。この数値からみると高性能です。
今回は、スーパーPI104万桁とHeat0507の、クロック変更による温度比較をしてみました。

実験システムの概要
マザーボード:EPOX EP-BX7+
CPU:Coppermine Celeron533A Q009A351-1013MALY
OS:Windows98
HDD Cドライブ:SCSI 1G外付け(Dドライブ:IDE RAIDストライピング)
SCSIカード:Tekram DC-390
VGA:3DForce B-32 Plus AGP4X
クラー:アルファー LS100-30w
2000年9月2日 室温33度
サーミスター温度計:マザーツールDMA001C、CompuNurse(電脳専用体温計)ETM2000
CPUダイ温度計:マザーボード付属モニターUSDM、METEX M−4660A
ソフトクーラー:Rain使用

スーパーPI104万桁実行時のCPUダイ温度変化グラフ(METEXマルチメーターで電圧を読み取り温度変化に変換したものです)



Heat0507実行時のCPUダイ温度変化グラフ


スーパーPI実行時の最高温度

温度 533MHZ(1.50V) 800MHZ(1.50V) 923MHZ(1.65V)
室温(ETM2000) 33.0 33.0 33.0
ケース内温度(ETM2000) 33.7 33.9 34.0
CPUダイ温度(付属モニターソフト) 37 37 40
System温度(付属モニターソフト) 36 36 36
ヒートシンク温度(DMA001C) 37.3 38.2 39.8
CPUダイ温度(METEX4660A温度変換) 37.0 38.7 41.5


Heat0507実行時の最高温度

温度 533MHZ(1.50V) 800MHZ(1.50V) 923MHZ(1.65V)
室温(ETM2000) 33.0 33.3 33.5
ケース内温度(ETM2000) 33.4 34.0 34.4
CPUダイ温度(付属モニターソフト) 37 39 43
System温度(付属モニターソフト) 36 36 37
ヒートシンク温度(DMA001C) 37.8 39.7 42.1
CPUダイ温度(METEX4660A温度変換) 37.3 40.3 44.7


9.オーバークロックの限界
オーバークロックはどこまで上がるか試してみました。PI104万桁が通るのはFSB117*8=936MHZでした。
Core電圧は1.65Vです。Core電圧を1.8Vまで上げてトライしたのですが、PI104万桁は通りませんでした。

項目 FSB115 FSB117 FSB118 FSB118 FSB118 FSB119 FSB120
CPUクロック 923 936 944 944 944 952 960
windows98 OK OK OK OK OK OK OK
PI104桁 OK OK NG NG NG NG NG
Core電圧 1.65 1.65 1.65 1.75 1.80 1.80 1.80


10.感想
今回制作したクーラーの性能はなかなかのものです。フィンの高さがもう少し高いヒートシンクが欲しかったのですがとりあえず手持ちのもので実験してみました。
CPUのロットも当たりだったようです。
やはりクーラーは体積が大きいほどよく冷えるようです。
次回は、クーラー対決を行う予定です。アルファーPEP66Tも手に入れたところです。

追伸
EP−BX7+のRAID機能はオンボードHTP368のバグ?不良?により不具合が発生します。
私の場合には、RAIDストライピングを組んで、フォント化けの現象となりました。現在は起動システムHDDとストライピングHDDを別にしています。
対策の新しいHPT368ドライバー(V1.11)では対策が不十分でおまけにHDDのパフォーマンスはシングル並みでした。
ストライピングの速さには感激です。FASTTRAK66買っちゃいました(まだセットしていません)。このマザーを選んだ意味がなくなった(残念)。


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