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静音化パソコンをめざして
2002年9月1日掲載
CPUの高性能化とともに、冷却のための強力な空冷CPUクーラーは高回転FANが多く、騒音の原因となっています。また、ハードディスク、CD-ROMドライブも高回転となりパソコンの騒音源となっています。
PCfan8月1日号に、「静音パソコン最終結論」の見出しで特集があったので、参考にしながら、静音化パソコンに改造することにしました。
ただし、静音化のパーツを試してレポートするのではなく、ケースFANやCPUクーラーの改造による、排熱改善と静音化がテーマです。
1.騒音計の購入
騒音計は10万円以上するものと思っていたのですが、PCfanで19,800円の計測器があることを知り、早速インターネットで調べると何件かヒットしました。いろいろ調べたのですが、PCfanに掲載されていたものと同じ商品を買うことに決めました。
大阪の機械工具商社に、通信販売で注文、代金を銀行振込みの後、2日で商品が届きました。デザインもなかなかのもので、使い方も簡単で分かりやすく、大変気にいっています。
この騒音計で騒音計測してみて感じたことは、機器の騒音を正確に測ることは一般環境・家庭においては至難の技であることが分かりました。騒音計の表示は常に変化しており、静かな部屋の中でも、外を車やバイクが通ると音を拾います。また深夜の静かな部屋では時計のカチカチ音も結構大きく影響します。日中の窓を開けた私の部屋では5デシベル位の変化があります。また、バイクが通ると15デシベルくらい跳ね上がります。
デジタル騒音計 | メーカーおよびスペック |
メーカー:扶桑理化製品株式会社 モデル:SD-2200 仕様 適応基準:IEC651 TYPE2、ANSI S1.4 Type2 周波数帯:31.5〜8KHz 測定レンジ:32〜130dB 周波数ウエイト:A、C マイクロホン:0.5インチ電気コンデンサ式マイクロホン 表示分解能:0.1dB 精度:±1.5dB 表示間隔:0.5秒/回 レンジ:Lo 32〜80db、Med 50〜100dB、Hi 80〜130dB |
2.騒音について
デシベル(dB)という単位は、音の強さを数値で表した単位で、人間の聴覚特性に合わせた騒音計で測定された数値を「騒音レベル」と呼び、その場合「0dB」が人間が聞き取れる「最小可聴限度」となると本に書いてあります。
私の部屋で、静かな深夜に窓を締め切った状態で、27dBでした。この値は大変静かで何も聞こえない状態です。ただし、騒音計の測定範囲を下回るのでUNDER表示が現れた状態の測定値です。
一般的な騒音レベルをカタログと実測値で掲載します。実測値は常に変化している値をおおまかにまるめた値です。
パソコンの静音レベルは40dB以下であれば相当静かなパソコンと言えるでしょう。
騒音レベル | 身近な騒音 |
0dB | 最小可聴限度 |
27dB | 自宅で深夜に窓を締め切った部屋 |
30dB | 自宅で昼間に窓を締め切った部屋 |
37dB | 事務所のNEC_VALUESTAR (夜に1台のみ50cm離れて測定) |
40dB | 図書館・静かな住宅地の昼 |
46dB | 常用している自作パソコン(50cm離れて測定、夏場で電源FANmax) |
46dB | 自宅の静かな部屋でのテレビ鑑賞 |
50dB | 静かな事務所 |
60dB | 普通の会話 |
70dB | 騒々しい事務所 |
70dB | 新幹線レールスター1号車 |
78dB | 自宅での掃除機使用(1996年製) |
80dB | 電車内 |
3.クーラーの騒音比較
手持ちのクーラーの騒音を測定してみました。ただし、この数値はクーラーから20cm離れた位置であり、通常のFANカタログ等で表示してあるデータは、JISにある測定方法で、暗騒音13dB-A以下においてファンを吊り下げ状態にして吸込口正面より1mの位置で測定したものです。
下表のデータはクーラーに取り付けた状態での単体の騒音ですが、FANの騒音と考えていいと思います。また、ケースに組み込むと高回転のFANでは、振動や共振でさらに騒音が大きくなることが予想されます。
部屋の騒音27dB
クーラーと騒音計の距離20cm
電圧を変化させて回転数を落とすと静音化には効果があります
クーラー名 | FANメーカー | FAN回転数 (12V) |
12V | 9V | 6V |
インテルリテール | SANYO | 4000 | 45dB | 37dB | 33dB |
カニエHedgehog-238M | DELTA AFB0612EH 60×25mm | 6800 | 66dB | 56dB | 44dB |
Alpha FC-PAL35U | SANYO 109R0612M426 60×25mm | 2600 | 36dB | 31dB | 29dB |
Alpha PEP66T | Panaflo FBA06A12H2 60×25mm | 4200 | 54dB | 47dB | 38dB |
Alpha PAL8045T | NIDEC D08R−12TM−09A 80×15mm | 2550 | 50dB | 44dB | 35dB |
4.常用パソコン(Celeron533A→800)にフロントFANの取り付け
常用している自作パソコンは、いまだにCeleron533Aを使用しています。夏場になると室温が32℃オーバーになり、CPUコア温度は38〜40℃となります。この時、電源FANはフル回転し結構うるさく感じるものです。
フロントFANを装着すれば、ケース内の温度が下がり、電源FANの回転が下がって少し静かになるかと思い、FANの取り付けとフードを製作してみました。
結果は、静音にならず、騒音化になってしまいました。しかも、ケース内温度は3℃程度しか下がりませんでした。もっと高発熱のCPUの場合効果が表れるかも?
夏場の暑い日だけフロントFANのスイッチを入れて使用しています。参考までにデータを掲載します。
フロントFANのON・OFFによる騒音と温度比較(室温32℃) | ||
項目 | フロントFAN on | フロントFAN off |
CPU Temp(℃) | 37 | 40 |
System Temp(℃) | 36 | 39 |
クーラーに貼り付けたサーミスター温度計(℃) | 35.0 | 38.4 |
騒音(dB) | 48 | 46 |
メインマシンの仕様
ケース:電源230w マザーボード:EPOX EP-BX7+ CPU:Coppermine Celeron533A→801MHZ Core1.69v CPUクーラー:カニエHedgehog-238M、FAN:SANYO 2600rpm フロントFAN:SANYO 8cm 0.09A 2350rpm(ON、OFFスイッチ有り) クーラー貼り付け温度計:CompuNurse(電脳専用体温計) VGA:Matrox Millennium G450 DualHead LX OS:Windows98 |
フロントFANとフードの取り付け
SANYO 8cmFAN 0.09A 2350rpm | 風がケースの上方に行くようにフードを作成 |
5.まとめ
静音化は大変難しいテーマです。FANの回転数を落とすことにより騒音レベルは下がるのですが、冷却性能がどのような比率で下がるのか検証できていません。また、ケースの通風を良くすれば温度が下がるものと思っていたのですが、期待したほどの効果はありませんでした。元の状態で結構通風は良かったみたいです。この常用パソコンの静音化は電源の交換しか残されていないようです。
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